軸のねじれとせん断応力の測定

軸をねじるとせん断応力τが発生し、同時に軸線を45°傾斜した2方向には、せん断応力と等大の引張および圧縮の応力が発生します。
軸のねじり(単純せん断応力状態)におけるひずみゲージによるひずみ測定は、せん断ひずみを直接測定しているのではなく、同時に発生する引張または圧縮応力により生じた引張ひずみまたは圧縮ひずみを検出しています。軸の表面の微小部分を取り出し、その応力の状態を図示すれば、下のようになります。

せん断ひずみγは下図のように定義され、その大きさは

軸をねじることにより、A点がB点へ移動し、ねじれ角θを生じます。

1ゲージ法による応力測定

ねじりの与えられている軸の軸線と45°傾いた方向にひずみゲージを接着します。得られたひずみε0と応力σの関係は、以下の式のようになります。求める応力(引張または圧縮)σは

σとせん断応力は等大ですから、せん断応力τは
τ=σとなります。

2ゲージ法、4ゲージ法による応力測定

各ひずみゲージには大きさの等しいひずみが発生していますから、これらのゲージ法でブリッジを組めば2倍、4倍の出力が得られます。
したがって読み取ったひずみを1/2、1/4倍して応力を計算してください。

トルク計測への応用、1ゲージ法による応力測定

軸表面のひずみと軸に加えられたトルクとは比例しますから、表面ひずみを知ってトルクを求めることができます。
軸の横断面に分布するせん断応力と加えたトルク(T)とが平衡し次式が得られます。

T=τ・ Zp
Zp:極断面係数

この式を引張ひずみの式に書き直しますと

極断面係数は軸の断面形状に固有のもので、下表のようになります。

前述のε0とT の関係式を使いますと、ひずみゲージを使ったトルク計の設計ができます。
使用する素材に許容される応力からε0を求め、加えられるトルクの大きさに見合った軸の太さdを決定すればよいことになります。あとは、ひずみ出力をひずみ測定器で増幅し、出力電圧を計測器で読み取ります。